社長メッセージ

社長メッセージ

変わりゆく世界の中で、長野から新しい「自立」の形を築く

安土桃山時代から420年以上の歴史を持つ綿半グループ。長野を拠点に築いてきた「6次産業化」の循環モデルは、いよいよ地域社会のインフラとして形になりつつあります。次の時代を見据えた「変化への決断」と、綿半グループが目指す姿について、社長に直接聞いてみました。

420年の歩みと、今こそ必要な「変化」への決断

───長野を拠点とした「面」の展開。その将来像がいよいよ形になってきた手応えは?

野原
綿半グループは「地域に寄り添い、地域と共に発展する」ことを目的に、各事業という「点」を連携さ せて「線」へと繋ぎ、地域全体を支える「面」へと 広げてきました。たしかに長野県においては、私たちが展開しているそれぞれの事業が結びつき、地域社会のインフラとして機能し始めていることを実感しています。
これが、安土桃山時代から420年以上にわたって受け継いできた、力を合わせ、分かち合い、響きあう「合才の精神」であり、私たちの変わることのない根幹です。そして、この伝統を守り抜くために、その時代に合わせて柔軟に姿を変えてきたことが、長い歴史の中で学んできた綿半グループの「知恵」となり、当社の中に蓄積されています。
昨今の激しい世界情勢の前では、描いていた計画ですら見直しを迫られることもあるでしょう。しかし、この大きな時代のうねりは、綿半グループが次の400年を歩むための大切な教訓であり、新たな知恵を学ぶ場でもあります。経営者として、外部環境の変化に常に目を配りながら、必要であればこれまでの方針を180度転換する決断をすべきだと考えています。変えないために、変わり続ける姿勢こそが、伝統を未来へ繋ぐ道だからです。

「買い負ける日本」という現実に、どう立ち向かうか

───世界情勢の不透明感が、綿半の進める「6次産業化」の重要性を一段と高めていますね。

野原
これまでは、安くて質の良い資源を世界中から集め、効率よく加工して届けることが、正しい経済の形だと信じられてきました。しかし、今や日本は、エネルギーや食料を世界で「買い負けてしまう」ような厳しい現実に直面しつつあります。
特に危機感を抱いているのは、目に見えない、サプライチェーンの脆弱さです。例えば、農作物を育てるための肥料の原料や家畜を育てるための飼料などを海外に依存していることで、世界で物流の寸断が起これば、私たちの食卓はすぐに影響を受けてしまいます。
そこで綿半グループは、木材や飼料、食料などの「衣食住」の根幹を、信州という地域の中でいかに確保していくかに挑戦し続けてきました。今、この定めた道筋は間違いではなかったと確信しています。

長野県を「自給自足のモデル」にするための具体的な歩み

───農業の構造改革など、具体的な「自立」への取組みの進捗は?

野原
前回のレポートでもお伝えした養豚事業は、着実に進展しています。加えて、新たに「農事組合法人綿半農場」を設立し、さらに踏み込んだ農業の構造改革に着手しました。実は、長野県の食料自給率は、カロリーベースで見ると半分にも満たないのが現状です。これは、野菜や果物の生産が盛んな一方、生きていくのに不可欠なお米や穀物の生産が少ないからです。
日本の農業がこれまで行ってきた「小さな規模で、それぞれが懸命に頑張る」という形では、これからの厳しい時代を乗り越えるのは難しいかもしれません。そこで私たちは、生産の現場から加工、そして自社の店舗という「お客さまに届ける出口」までを、一貫して繋げる仕組みを構築してきました。
綿半グループのネットワークを最大限に活用し、地域の中で資源と食料が循環する新しい自給自足の形を作っていきます。

地域の課題を魅力に変える、新たな挑戦

───観光やペット事業を「第4の柱」として強化される狙いを教えてください。

野原
はい。これは単なる観光事業ではなく、いままでの知見を活かして、地域の課題を「地域の魅力」に変える新たな取組みです。現在日本では、急速に少子高齢化が進んでいます。とくに田舎ではその影響が顕著に表れており、田舎の「今」は、地方都市の近未来、そして日本の未来だと捉えています。
綿半には、地域の方々に綿の栽培を教え、流通させたり、明治維新の頃には外部から金物を持ち込んで、地域を発展させたりと、内から外へ・外から内へ、「地域の魅力」を高めるために尽力してきた歴史があります。
私たちも日本の次を作るため、まずは原点である南信州を中心に、「地域の魅力の再構築」を行い、その魅力を外部の方へ伝えていくべきであると考えています。
また、「衣食住」を支える事業は、ペットに対しても広がっています。長野県内でも深刻な社会問題となっている野生鳥獣による被害に対して、駆除されてしまう鹿などを単に処分するのではなく、質の高いペットフードとして活用する事業を推進しています。
さらに、グループで運営する動物病院では、人間ドックのような精密検査ができる体制を整え、大切な家族の健康を高度な医療で支えています。このように地域が抱える課題を見つけ出し、それを事業の力で解決しながら、新しい魅力として提供していくことこそが、私たちが目指している「面」の広がりです。

長野から日本全国、そして世界へ

───長野で構築されたこの「循環モデル」は、他地域や世界へも波及していくのでしょうか。

野原
長野県で今私たちが取組んでいるモデルは、決して一地域で終わるものではなく、日本全国、そして世界へと繋がっていく大きな可能性を秘めています。
その鍵の一つが、現在、建設が進む「三遠南信自動車道」です。開通すれば、信州の山々と静岡の豊かな海が一本の太い道で繋がります。この開通に先んじて稼働させた大規模な物流センターは、単なる倉庫ではなく、災害時に地域の皆さまが避難でき、物資を届ける拠点となる役割も持ちます。
こうした循環モデルは、私たちの舞台を世界へと拡大してくれます。円安には厳しい側面もありますが、日本の素晴らしい農産物やサービスを海外の方々に知っていただく絶好の機会にもなります。日本の自然や伝統が持つ本質的な価値は、海外から高く評価されており、外貨を稼ぐ力を再びこの地域へと還元できれば、長野県をもっと豊かで魅力的な場所にしていけるはずです。

未来の「社長」たちと共に歩むための次世代への投資

───地域の子どもたちへの投資に力を注がれる、その想いをお聞かせください。

野原
事業は、いつの時代も「人」の力が重要です。そこで、次の世代へとバトンを繋いでいくために、地域の子どもたちへの投資も積極的に行っています。
綿半グループが行っている「こども社長体験」や「子ども食堂」への支援は、単なる社会貢献活動ではありません。地域の子どもたちが早い段階から「経営者の視点」を持つことで、この国の将来を支える大きな力になると信じているからです。そして、次世代が憧れるような地域社会と事業を創り出すことこそが、今の私たちに課せられた使命だと思っています。
私たちは今、原材料の値上がりや物流のコスト高といった非常に厳しい環境の中にいます。こうした時こそ、綿半グループの真価が問われる時です。お客さまに喜んでいただける価値のあるものを、長年磨いてきた「エブリデイ・ロープライス」の精神で、誠実にお届けしていきます。
厳しい環境下だからこそ、同じ志を持つ仲間と力を合わせ、組織としての効率を高めていく「合才」の力が必要です。綿半グループは、これからも点と点を繋ぎ、長野県という大地にしっかりと根を張りながら、そこで育んだ「面」を、日本へ、そして世界へと力強く広げてまいります。
株主の皆さまにおかれましては、私たちのこの終わりのない挑戦を、これからも一番近くで見守り、支えていただければ幸いです。今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。